東京都カスタマー・ハラスメント防止条例の概要

東京都では、カスタマー・ハラスメントの防止を目的とする条例が2025年4月1日から施行されています。このページでは、条例本文に沿って、定義と事業者に求められていることの概要を説明します。個別の事案への当てはめについての判断を示すものではありません。

条例の名称と施行日

名称は「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」(令和6年東京都条例第140号)です。2024年10月11日に公布され、2025年4月1日から施行されています。

条例は、カスタマー・ハラスメントの防止に関して基本理念を定め、東京都、顧客等、就業者、事業者の責務を明らかにするとともに、防止に関する施策の基本的な事項を定めることを目的としています(第1条)。

条例が定めるカスタマー・ハラスメントの定義

条例は、カスタマー・ハラスメントを「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」と定めています(第2条第5号)。

ここでいう「著しい迷惑行為」は、「暴行、脅迫その他の違法な行為又は正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為」とされています(第2条第4号)。

条例は、第4条で「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない。」と定めています。一方で、条例の適用に当たっては顧客等の権利を不当に侵害しないように留意しなければならないこと(第5条)、防止に当たっては顧客等と就業者とが対等の立場において相互に尊重することを旨としなければならないこと(第3条第2項)も定めています。

条例の定義は、国の法律に基づく厚生労働省の指針の定義(顧客等の言動、社会通念上許容される範囲を超える、就業環境が害される、の3つの要素)とは言葉の組み立てが異なります。国の指針の定義は、「カスハラとは」のページで説明しています。

カスハラの定義(国の指針)を見る

事業者に求められていること(努力義務)

条例にいう「事業者」は、都の区域内で事業(非営利目的の活動を含む)を行う法人その他の団体(国の機関を含む)、または事業を行う場合における個人とされています(第2条第1号)。

事業者は、基本理念にのっとり、カスタマー・ハラスメントの防止に主体的かつ積極的に取り組むとともに、都が実施する防止施策に協力するよう努めなければならないとされています(第9条第1項)。

また事業者は、その事業に関して就業者がカスタマー・ハラスメントを受けた場合には、速やかに就業者の安全を確保するとともに、行為を行った顧客等に対し、その中止の申入れその他の必要かつ適切な措置を講ずるよう努めなければならないとされています(第9条第2項)。自社の就業者が、顧客等としてカスタマー・ハラスメントを行わないように必要な措置を講ずるよう努めることも定められています(第9条第3項)。

さらに事業者は、都が定める指針に基づき、必要な体制の整備、カスタマー・ハラスメントを受けた就業者への配慮、カスタマー・ハラスメント防止のための手引(マニュアル)の作成その他の措置を講ずるよう努めなければならないとされています(第14条第1項)。事業者が手引を作成したときは、就業者はその手引を遵守するよう努めなければならないとされています(同条第2項)。

これらは、いずれも「努めなければならない」と定められた努力義務です。条例には、違反に対する罰則の規定は置かれていません(2026年9月時点の条例本文による)。なお、暴行・脅迫など犯罪に該当し得る言動については、国の指針も警察への通報を対処の例として挙げています。

顧客等・就業者・東京都の責務

顧客等は、カスタマー・ハラスメントに係る問題に対する関心と理解を深め、就業者に対する言動に必要な注意を払うよう努めること、都の施策に協力するよう努めることとされています(第7条)。就業者は、顧客等の権利を尊重し、防止に資する行動をとるよう努めること、事業者の取組に協力するよう努めることとされています(第8条)。

東京都は、情報の提供、啓発及び教育、相談及び助言などの施策を行うものとされ(第6条・第13条)、カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針を定めて公表するものとされています(第11条)。

国の措置義務(2026年10月1日施行)との関係

2026年10月1日からは、改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)により、事業主に、職場におけるカスタマーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置が義務づけられます。これは条例とは別の、国の法律に基づく制度です。講ずべき措置の内容は、厚生労働省の指針(令和8年厚生労働省告示第51号)が定めています。

東京都内で労働者を雇用している事業主は、条例に定める努力義務とあわせて、国の措置義務の内容も確認してください。自社にどの規定がどのように適用されるかについて判断が必要な場合は、弁護士・社会保険労務士などの専門家や、関係する行政の窓口にご相談ください。

国の義務化の内容を見る

条例を踏まえた手引(マニュアル)づくり

このツールの対応マニュアルは、国の指針の5区分に沿った構成で、所在地に東京都を選ぶと、条例に関する節を付録に追加します。マニュアルの作成機能は、2026年10月9日に公開する予定です。それまでの間は、方針をお客様等にお伝えするための掲示ポスターを作成できます。

対応マニュアルについて見る

よくある質問

東京都のカスハラ条例はいつから施行されていますか。
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(令和6年東京都条例第140号)は、2024年10月11日に公布され、2025年4月1日から施行されています。
東京都の条例で、事業者は何をしなければなりませんか。
条例は、事業者に対し、防止に主体的かつ積極的に取り組むこと、就業者がカスタマー・ハラスメントを受けた場合に速やかに安全を確保し、行為を行った顧客等に中止の申入れその他の必要かつ適切な措置を講ずること、都の指針に基づき体制の整備・就業者への配慮・手引の作成その他の措置を講ずることなどを、努力義務として定めています(第9条・第14条)。
条例に罰則はありますか。
条例には、違反に対する罰則の規定は置かれていません(2026年9月時点の条例本文による)。事業者の責務は、努力義務として定められています。なお、暴行・脅迫など犯罪に該当し得る言動については、厚生労働省の指針も警察への通報を対処の例として挙げています。
条例と国の法律による義務化は、どう違いますか。
東京都の条例は、都の区域内で事業を行う事業者などを対象に、努力義務などを定めたものです。国の法律(改正労働施策総合推進法)は、2026年10月1日から、事業主に雇用管理上の措置を講ずることを義務づけるもので、条例とは別の制度です。国の措置義務の内容は、義務化のページで説明しています。